「整備済製品って、要するに中古でしょ?」
Appleの整備済製品の話をすると、たいていこう返されます。こんにちは、「Appleデバイスの住み替え術」編集人の真鍋です。家電量販店のモバイルコーナーで6年間働き、いまは自分のデバイスの購入価格と売却価格をすべてスプレッドシートに記録しています。その記録を見返すたびに思うのは、整備済製品は「安い中古」のひと言では片づけられない買い方だということです。
整備済製品は、新品と一般の中古のあいだにある第3の選択肢です。ただ、中身はiPad、Mac、Apple Watchといった製品カテゴリで違いますし、手放すときのことまで考えると、向き不向きもはっきり分かれます。この記事では、Apple公式の案内で確認できたことだけを根拠に、新品・整備済製品・一般の中古を比べ、買う前に決めておきたい判断の基準をお伝えします。
目次
Apple認定整備済製品とは、Appleが整備し直した「新品ではない製品」
まずは定義から確認しておきます。Appleは整備済製品の商品ページで、Apple認定整備済製品を「Appleの厳しい整備プロセスを経て販売される、新品ではないApple製品」と説明しています。技術的な問題があって返品された製品も一部含まれますが、どれもAppleの品質基準をクリアしたことを確認したうえで売られています。
整備の流れは、おおむね次のとおりです。
- 機能をすべてテストし、不具合が見つかった部品を交換する
- 徹底したクリーニングと検査を行う
- マニュアルやケーブルとあわせて、新しい箱に梱包し直す
- 販売前に最終の品質検査を行う
価格について、Appleは認定整備済製品を選ぶ理由のページで「最大15%引きの特別価格」と案内しています。あくまで「最大」なので、すべての製品が15%引きになるわけではありません。送料は無料で、最短で翌日に届きます。製品が入っているのは、新品の化粧箱ではなく白い箱です。
言葉の使い方にも注意が必要です。売り場にいた頃も、「Appleの整備済と、通販のリファービッシュは同じものですか」と何度か聞かれました。通販サイトや中古ショップにも「リファービッシュ品」「整備品」と名のつく商品が並んでいますが、それらは販売店が独自に整備したもので、整備の中身も保証も店ごとに違います。この記事で扱うのは、Appleのオンラインストアにある「認定整備済製品」のコーナーで売られている製品だけです。
iPad・Mac・Apple Watchで中身が違う
よく目にする「整備済製品はバッテリーも外装も新品」という説明は、半分だけ正しい表現です。Appleが各カテゴリのページで案内している内容を並べると、次のようになります。
| カテゴリ | 新しいバッテリーと外装 | 整備の内容 | 保証 |
|---|---|---|---|
| iPad・iPhone | すべてのモデルで使用 | 動作テスト、必要に応じて純正パーツに交換、クリーニング | 1年間 |
| Mac | 記載なし | 動作テスト、必要に応じて純正パーツに交換、クリーニング | 1年間 |
| Apple Watch | 記載なし | 動作テストとクリーニング | 1年間 |
iPadとiPhoneは、すべてのモデルに新しいバッテリーと外装が使われます。商品ページには「新品のiPadと同じ1年間の保証」とも書かれていて、見た目もバッテリーも新品に近い状態で届くと考えてよい内容です。
Macには、新しいバッテリーや外装を使うという記載がありません。書かれていない以上、新品のバッテリーとは限らないという前提で選ぶのが安全です。iMacやMac miniのようなデスクトップはバッテリーで動く機種ではないので、気にするのはノート型だけで構いません。MacBookを買ったら、届いたその日にバッテリーの状態を確かめておきましょう。後で触れる返品の受付期間内に確認しておけば、気になる点があっても手を打てます。
Apple Watchは、さらに条件が違います。Appleは「部品の交換が必要なApple Watchデバイスは、Apple認定整備済製品には含まれません」と明記しています。部品を替えずにテストとクリーニングを通過した個体だけが並んでいる、というわけです。
どのカテゴリでも、OSは出荷時のバージョンのまま届くことがあります。最新版は無料でアップデートできるので、データを移す前に済ませておくと後が楽です。
新品・整備済・中古を比べる
ここからが本題です。3つの買い方を、保証と状態、そして手放すときの見られ方まで含めて比べました。一般の中古は、中古ショップとフリマアプリの両方を想定しています。
| 比べる項目 | 新品(Appleで購入) | Apple認定整備済製品 | 一般の中古 |
|---|---|---|---|
| 価格 | 定価 | 最大15%引き | 状態・時期・店で大きく変わる |
| 外装・バッテリー | 新品 | iPad・iPhoneは新品。Mac・Watchは記載なし | 個体ごとに違う |
| 保証 | 1年間 | 1年間 | 店独自の保証。フリマは基本的になし |
| AppleCare+ | 購入日から30日以内に加入 | 加入できる(期限は同じく30日以内) | 条件はAppleに要確認 |
| 返品 | 受け取りから14日以内 | 受け取りから14日以内 | 店の規定次第 |
| 箱・付属品 | 化粧箱と付属品 | 白い箱と必要な付属品 | 揃っているかは個体次第 |
| モデルの選び方 | 色・容量・構成を自由に選べる | 在庫にあるものだけ。刻印は不可 | 旧モデルまで幅広い |
| 売るときの見られ方 | 箱と付属品を揃えやすい | 整備済品の扱いは買取店ごとに確認 | 修理歴や付属品の欠けを引き継ぐ |
表の「新品」は、Appleで買った場合の条件です。家電量販店や通信キャリアで買った新品の返品条件は、それぞれの店の規定に従います。
保証と返品に関しては、整備済製品は新品とほぼ横並びです。Appleの返品・返金のページによると、受け取りから14日以内にオンラインで依頼すれば無料で返送でき、整備済製品の商品ページにも「Appleの返品ポリシーが適用されます」と書かれています。AppleCare+は、AppleCareの案内にあるとおり、製品の購入日から30日以内に入る必要があります。整備済製品でもAppleCare製品を購入して保証を延長できると、Apple自身が案内しています。加入すると、保持容量が本来の80%未満になったバッテリーも保証の対象になり、これはMacでもApple Watchでも同じです。新しいバッテリーの記載がないMacやApple Watchを整備済で買うなら、この点は見逃せません。
一般の中古は、価格の幅が大きいぶん、状態の幅も大きいのが特徴です。同じモデルでも、バッテリーがどれだけ劣化しているか、どこを修理したかは1台ずつ違います。
整備済製品の弱点は、品質よりも「選べない」ことにあります。在庫は数量限定で、Appleは「在庫状況は購入代金全額のお支払いが完了した時点で保証されます」と案内しています。カートに入れただけでは確保されないので、欲しい構成を見つけたらその場で決めるくらいの心づもりでいてください。刻印サービスも使えません。
買うときに、手放すときのことまで考える
整備済で買ったiPadやMacは、売るときに新品で買ったものと同じように評価されるのか。これは、私には言い切れません。整備済品をどう扱うかは、買取店ごとの基準で決まるからです。気になるなら、買う前に、売るつもりの店へ整備済品の扱いを問い合わせておくのがいちばん確実です。
それでも、査定する側が目の前の個体のどこを見るかは分かります。私がいた売り場の下取りでも、チェックしていたのは外装の傷、画面の状態、付属品の有無、そして「探す」がオフになっているかでした。整備済製品を買ったら、白い箱と付属品は捨てずに取っておいてください。売るときは整備済製品であることを最初に伝え、査定の条件を事前に確認しておけば、後から話が食い違う心配も減ります。
一般の中古で買う場合に気にしてほしいのが、修理の履歴です。AppleのiPadの部品と修理の履歴のページによると、iPadを売ったり譲ったりした後は、新しい持ち主もその修理履歴を確認できます。同じページには、非純正の部品などが「不明な部品」と表示されると、下取り価格に影響する場合があるとも明記されています。中古で非純正の修理を受けた個体を買えば、その履歴は自分が売るときにもついて回るわけです。
確認の方法は、「設定」から「一般」、「情報」と進み、「部品と修理の履歴」の欄が出ていないかを見るだけです。この欄は部品が交換されている場合などに限って表示されます。対象になる部品はモデルによって限られるので、これだけで修理歴がすべて分かるわけではありませんが、最低限のチェックとしては十分役に立ちます。フリマで買うなら、出品者にこの画面のスクリーンショットをお願いしてみてください。
最後に、私がスプレッドシートで見ている数字は「実質負担=購入価格−売却価格」の1本だけです。整備済製品は買う時点で最大15%安いので、売るときの査定が新品で買ったものより低く出たとしても、その差が購入時の割引額より小さければ、トータルでは整備済のほうが安く済みます。反対に、割引の小さいモデルで売却額に差がつけば、新品のほうが得になる場合もあります。
なお、売るときの準備そのものは、整備済で買った端末でも新品で買った端末でも変わりません。バックアップ、Apple Accountからのサインアウト、「探す」のオフ、初期化という順番で進めます。手順の詳細はiPadを売る前の完全チェックリスト。サインアウトから「探す」オフまでにまとめています。
整備済製品が向く人、新品や中古が向く人
ここまでの比較を、どんな人に向くかという形で整理します。整備済製品が向いているのは、次のような人です。
- 1世代前や2世代前のモデルで十分に用が足りる
- iPadやiPhoneを、新しいバッテリーの状態から長く使いたい
- 中古の安さより、1年間の保証と14日以内の返品の安心を取りたい
- 欲しいモデルが出るまで、こまめに在庫を確認できる
新品が向くのは、最新モデルや特定の色・容量・構成が欲しい人と、刻印を入れたい人です。一般の中古は、価格を最優先したい人や、サブ機として割り切って使う人に向いています。ただし中古を選ぶなら、状態を見極める目と、保証がない前提で使う覚悟が要ります。
家族のIT係として両親に渡すiPadを選ぶとき、私は整備済のiPadを候補の筆頭に置いています。バッテリーが新しく、製品の不具合なら1年間はAppleの保証で対応してもらえるので、離れて暮らす親の端末でも安心して渡せるからです。
整備済製品で前の世代のモデルを選ぶなら、そのモデルがあと何年OSのアップデートを受けられそうかも見ておくと安心です。考え方はiPadは何年使える?モデル別サポート期間と買い替えどきの見極め方で解説しています。
届いてからの期限も、2つだけ覚えておいてください。返品は受け取りから14日以内、AppleCare+の加入は購入日から30日以内です。外装と動作の確認、Macならバッテリーの状態の確認までを最初の数日で終わらせ、保証を延ばすかどうかもその週のうちに決めてしまいましょう。
まとめ
整備済製品は買いか。私の答えは、iPadとiPhoneなら「十分に買い」、MacとApple Watchなら「中身を理解したうえで買い」です。
iPadとiPhoneは、新しいバッテリーと外装、新品と同じ1年間の保証、14日以内の返品と条件がそろっていて、公式の案内を見る限り、使う側から見た新品との違いは価格と箱、そして選べる幅くらいです。Macは新しいバッテリーの記載がなく、Apple Watchは部品交換が必要な個体を含まないという違いがあるので、「新品同様」と思い込まずに選んでください。
そしてもうひとつ、買うときには手放すときのことも一緒に考えておいてください。白い箱と付属品を残す。修理歴に気を配る。購入価格ではなく、実質負担で比べる。Apple製品は高い買い物ですが、出口まで見通して選べば、その負担はちゃんと軽くなります。次の一台を探すときは、Appleの整備済製品のページも候補に入れてみてください。
出典
本記事の執筆にあたり、以下の情報を参考にいたしました。
- 認定整備済製品を選ぶ理由 – Apple(日本)
- 返品・返金 – Apple(日本)
- AppleCare – Apple(日本)
- iPadの部品と修理の履歴 – Apple サポート