「うちは家族みんな、お父さんのApple IDで使ってるから大丈夫」

実家に帰ったとき、母にこう言われて少し背筋が冷えました。こんにちは、「Appleデバイスの住み替え術」編集人の真鍋です。元家電量販店のモバイルコーナー担当で、いまも両親や親戚のiPhone・iPadの設定を一手に引き受けている、いわゆる家族のIT係です。

そのころの実家では、母のiPadに父宛てのメッセージが次々に届き、Apple Musicのおすすめは父の好きな昭和歌謡で埋まっていました。本人たちは便利だと思っていたのですが、Appleが用意している家族向けの仕組みは別にあります。それがファミリー共有です。

家族がそれぞれ自分のApple Account(以前のApple ID)を持ったまま、アプリやサブスクリプションを分け合い、子どもの端末を親の手元から見守れます。この記事では、共有できるもの・できないものの整理から、iOS 27とiPadOS 27の設定アプリでの手順、さらにお下がりや売却のときに気をつけたい点まで、住み替えの視点でまとめました。

ファミリー共有の基本。最大6人、まとめ役は「管理者」

管理者が決めること、払うもの

ファミリー共有は、成人1人の「管理者」がグループを作り、ほかの家族を招待する仕組みです。人数は管理者を含めて最大6人で、メンバー全員が同じ国に住んでいる必要があります。一度に入れるグループは1つだけで、別のグループへ切り替えられるのは1年に1回に限られます。

管理者は、メンバーの追加や削除を担当し、「購入アイテムの共有」をオンにしていれば家族の購入代金も支払います。家族が買ったアプリやサブスクリプションの料金は、ほかの成人が自分の支払い方法を使わない限り、管理者に請求されるわけです。子どもからの購入リクエストを承認するのも管理者の役目ですが、この作業はほかの成人を「親/保護者」に設定すれば分担できます。

IT係として強調したいのが、管理者の人選です。Appleのユーザガイドによると、管理者はグループから抜けられず、管理者を替えたいときはグループを解散して、別の成人に作り直してもらう必要があります。私は実家のグループを組むとき、設定作業こそ自分で引き受けましたが、管理者には支払いを担う父を据えました。設定する人ではなく、お金を払う人を管理者にする。後から付け替えられない以上、ここは最初に決めておきたいところです。

共有できるもの・できないもの

共有の範囲は、Appleの「家族と共有できるコンテンツの種類」に一覧があります。よく聞かれるものを表にまとめました。

項目家族との共有補足
App Storeで購入したアプリできる「購入アイテムの共有」がオンで、アプリがファミリー共有に対応している場合
購入した音楽・映画・ブックできるiTunes Store、Apple TVアプリ、Apple Booksで購入したもの
iCloud+、Apple TV、Apple ArcadeできるiCloud+を共有しても、ほかの人の写真や書類は見えない
Apple Music、Apple Oneファミリープランのみ個人プランや学生プランは共有できない
アプリ内課金の消費型(コイン、宝石など)できないゲーム内通貨などは家族に回せない
非表示にした購入アイテムできない本人が隠したものは家族から見えない
写真・ファイル・書類されない自分で共有を選んだものだけ
位置情報できる共有するかどうかは各自が決める

見落としやすいのはアプリです。ファミリー共有に対応させるかどうかはデベロッパが決めるため、有料アプリでも共有できないものがあります。App Storeでアプリのページを下へスクロールし、「サポート」の欄に「ファミリー共有」と表示されていれば対応済みです。設定を変えてから反映されるまでに最大30分かかることもあるので、変更直後に家族の端末で見当たらなくても慌てなくて大丈夫です。

1つのApple Accountを家族で使い回さない

冒頭の実家のように、家族全員が1つのアカウントでサインインしている家庭は珍しくありません。Appleは「家族全員がそれぞれ自分のApple Accountを使うよう徹底する」というサポート記事まで用意していて、使い回すと次のようなことが起きると説明しています。

  • 家族宛てのメッセージやボイスメールが自分にも届く
  • 通話履歴に家族の発着信が混ざる
  • Apple Musicのライブラリやおすすめが家族と混ざる
  • 共有をやめたとき、購入したコンテンツはすべてアカウントの持ち主のものになる

最後の項目は、住み替えのときに効いてきます。子どもが成長して自分のアカウントに移っても、それまで買ったアプリは親のアカウントに残ったままです。ファミリー共有を始めるなら、まず家族それぞれのアカウントを作り、各端末でサインインし直すところから手を付けてください。面倒に見えますが、私の実家は週末の半日で片づきました。

iOS 27/iPadOS 27での設定手順

ここからは、9月に配信が始まったiOS 27とiPadOS 27の画面表記で手順を紹介します。大きな流れはAppleの「iPhoneまたはiPadでファミリー共有を設定する方法」と同じです。

ファミリーを作成して家族を招待する

管理者になる人のiPhoneで設定アプリを開き、いちばん上の自分の名前をタップして「ファミリー」を選び、「続ける」をタップします。あとは画面の案内どおりに進めればグループの完成です。作成は1台で済ませれば、同じApple Accountでサインインしているほかの端末にも反映されます。

家族を後から招待するときは、設定の「ファミリー」を開き、メンバーの追加ボタンから「ほかの人に参加を依頼」をタップします。招待はAirDrop、メッセージ、メールで送れますが、隣にいるなら「直接会って登録を依頼」を選び、その場でアカウントのパスワードを入力してもらうのがいちばん早いです。招待された側は、届いたメッセージやメールから承諾するか、設定アプリの自分の名前にある「登録案内」から返信します。

子ども用アカウントを作る

日本では、13歳未満の子どもにはお子様用アカウントが必要です。設定の「ファミリー」でメンバーの追加ボタンをタップし、「お子様用アカウントを作成」から名前と生年月日を入力します。生年月日は必ず正確に入れてください。年齢に応じて自動でかかる制限があるため、ここがずれると設定が期待どおりに働きません。アカウントには、子どものメールアドレスのほか、提案される@icloud.comのアドレスやGame Centerのニックネームも使えます。

「購入アイテムの共有」と「承認と購入のリクエスト」をオンにする

アプリや本を家族で分けるには、管理者が設定の「ファミリー」から「購入アイテムの共有」を開き、「オンにする」をタップします。iCloud+は別の手順で、設定の「ファミリー」から「サブスクリプション」、「iCloud+」と進みます。共有するのは管理者でなくても構わず、無料の5GBを使っている家族は自動で共有プランに加わります。

続いて、子どもが勝手に課金しないための「承認と購入のリクエスト」です。設定の「ファミリー」で子どもの名前をタップし、「承認と購入のリクエスト」の項目でオンにします。Appleのサポート記事でも項目の位置の書き方が分かれていて、「アプリとウェブサイト」の中にある画面もあるので、見つからなければそこを開いてください。年齢によっては最初からオンになっている場合もあり、そのときは確認だけで済みます。

リクエストは保護者のメッセージアプリに届き、Face IDで承認できます。却下したり24時間以内に返事をしなかったりすると、子どもはリクエストを送り直さなければなりません。「リクエストが届かない」と相談されたら、まず子どもの端末の連絡先に保護者が登録されているかを見てください。Appleも、保護者が子どもの連絡先に入っていることを前提条件に挙げています。

住み替えのときに気をつけたいこと

古いiPadを子どものお下がりにするなら

親のアカウントでサインインしたままのiPadを、そのまま子どもに渡すのはやめましょう。Appleの子ども向けガイドも、古いiPhoneやiPadを子どもに回すときは、バックアップを作ってからサインアウトし、個人情報を消すよう案内しています。消去したiPadは最初の設定画面に戻るので、そこで親のiPhoneを近づければ、クイックスタートで使う子どもを選んで設定を進められます(選択肢に出るのは13歳未満の子どもです)。ペアレンタルコントロールもこの流れでまとめて設定でき、「購入アイテムの共有」がオンなら、親が買ったアプリのうちファミリー共有に対応したものはApp Storeの「購入済み」から入れ直せます。

もう一つ確かめたいのが、そのiPadがiPadOS 27に対応しているかどうかです。iOS 27世代ではペアレンタルコントロールが作り直されましたが、Appleの案内によると、新しいペアレンタルコントロールを使うには、ファミリー共有グループのすべてのデバイスが27以降になっている必要があります。アップデートできない古い端末は、iPadOS 26以前の世代のスクリーンタイムの設定で使う形です。iPad(第8世代)やiPad Air(第3世代)など、iPadOS 27の対象から外れた5モデルはiPadは何年使える?モデル別サポート期間と買い替えどきの見極め方にまとめています。設定の「ファミリー」にある「ファミリーデバイスを表示」を開けば、アップデートが済んでいない端末や、アップデートできない「古いデバイス」も一覧で確認できます。お下がりを決める前に、一度ここを開いておくと後で慌てずに済みます。

家族の誰かが端末を手放すとき

混同しやすいのが、「端末を手放すこと」と「ファミリーから抜けること」です。iPadを売っても、その人のApple Accountはファミリーに残ったままで構いません。外すべきなのは、端末とアカウントの紐づけのほうです。

サインアウトは、その端末を使っていた本人のApple Accountで行います。ペアレンタルコントロールを設定した子どもの端末は、保護者がスクリーンタイムのパスコードを入力しないとサインアウトできないので、親子そろって作業してください。終わったら、設定アプリの自分の名前を開いて下へスクロールし、デバイスの一覧からその端末が消えていることを確かめます。売る前の作業全体はiPadを売る前の完全チェックリスト。サインアウトから「探す」オフまでに順番どおり載せています。

ファミリーから抜けるときは「誰が買ったか」を確かめる

子どもの独立や家族構成の変化でグループから抜けるときは、影響が端末1台では済みません。Appleの「ファミリー共有グループから退会またはメンバーを削除する方法」によると、購入した本人がグループを抜けると、ほかのメンバーはその人が買ったコンテンツを使えなくなります。家族が毎日使っている有料アプリを誰のアカウントで買ったのか、抜ける前に確認しておいてください。iCloud+の共有プランを使っていた人が抜ける場合も要注意で、5GBを超えて使っていれば、自分で有料プランを契約しない限り写真のアップロードやバックアップが止まります。

まとめ

ファミリー共有のポイントを振り返ります。

  • 管理者を含めて最大6人で、管理者は後から抜けられないため支払いを担う人にする
  • 家族それぞれが自分のApple Accountを持ってから始める
  • 13歳未満の子どもにはお子様用アカウントを作り、「承認と購入のリクエスト」の状態を確認する
  • iOS 27の新しいペアレンタルコントロールは、家族の全デバイスが27以降であることが条件
  • 端末を手放すときはサインアウト、グループを抜けるときは購入者を確認する

ファミリー共有は、設定した日よりも、家族の端末が入れ替わる日に差が出る機能だと私は思っています。誰のアカウントがどの端末に入っているのかを、IT係が把握しておけば、お下がりも売却も迷わずに進められます。次に家族のiPadが新しい住人に替わるときは、作業を始める前に、設定の「ファミリー」を開いてみてください。

出典

本記事の執筆にあたり、以下の情報を参考にいたしました。

  1. iPhoneまたはiPadでファミリー共有を設定する方法 – Apple サポート
  2. 家族と共有できるコンテンツの種類 – Apple サポート
  3. スクリーンタイムとファミリー共有のペアレンタルコントロールの新機能 – Apple サポート
  4. ファミリー共有グループから退会またはメンバーを削除する方法 – Apple サポート